役員報酬の決め方(全額損金にするための要件編)

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こんにちは、東京千代田区の都丸税理士事務所です。

当事務所では、会社設立、創業支援、創業融資等、会社経営に関わる様々なサポートを実施しています。

役員報酬はどのように決めたらいいの?

当たり前のことですが、起業すると、自らが経営者となり、会社の役員となります。

これまで会社員だった方は特に、自分の報酬をいくらにすればいいのか?と悩まれるのではないでしょうか。

自分一人で起業した場合、役員報酬は事実上自分の一存で決めることができます。

しかしながら、役員報酬は変更が容易ではないため、役員報酬の決定が会社に及ぼす影響はとても大きいものです。

本日は、役員報酬の決定で失敗しないために、金額の決定方法や手続きでおさえるべきポイントを解説したいと思います。

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役員報酬のうち会社の損金として認められるための要件

役員報酬を決める時期は会社法では定めはありませんが、法人税法では損金算入させるための「役員報酬の決め方」について決まりがあります。

「損金」とは、税法上での「費用」という意味です。

役員報酬の全額を、損金算入するためには、どのような要件が必要となるのでしょうか?

法人税法では算入できる役員報酬について、以下のように大きく3つに定められています。

1. 定期同額給与

期中、毎月同じ金額を役員に報酬として支払い、会計上費用として処理することで、税務上も損金として認められるというものです。

「毎月同じ金額」ということがポイントです。

先月は売上が好調だったから、30万円だったが、今月はあまりよくないので20万円にしよう、ということはできません。

もし7月決算の会社であれば、8月から7月まで毎月同じ額を役員報酬として支払い、記帳していきます。ただし、株主総会で役員報酬を改定することがあることから、期首から3か月以内の改定は認められています。

とはいっても、期中に業績が急速に悪化し、役員の報酬を下げないと会社の経営が圧迫されるという状況はよくある話です。

このような場合には、例外的に役員報酬を減額して、その減額した金額を決算日まで毎月計上すれば1年間定期同額の役員報酬が支払われたと法人税法上認めてもらえる可能性があります。

しかしながら、後になって税務調査が入って否認される恐れもありますので、役員報酬が適切な機関決定を経て定められたことを税務署に主張するためにも、役員報酬を減額することを決定した株主総会議事録等を作成しておくことが必要になります。

2. 事前確定届出給与

株主総会等から1か月以内か会計期間の開始の日から4か月以内のいずれか早い日までに、税務署へこの日にいくら支払います、という内容の届け出をし、その届出の通りに役員報酬の支払と記帳が行われれば、税務上も損金として認めるというものです。

届け出た通りの日に届け出た金額を必ず支給するということがポイントです。

3. 利益連動給与

同族会社以外で一定の要件を満たした場合のみ認められます。

これは主に上場企業が該当します。

役員報酬の算定基礎となる指標等を有価証券報告書などに記載し、算定基礎に基づき役員に支払った場合に、損金算入を認めるという制度です。

役員報酬を決める際の注意点

ここまで、役員報酬の決め方に関する制度が3つあるという点について述べてきました。

もちろん併用は可能ですが、一般的にはその中でも定期同額給与が多く採用されています。ここでは定期同額給与を前提として話を進めていきます。

1年間の売上予測に基づき算出する

一度決めた役員報酬の金額は、基本的に1年間は変えられませんので、この1年間の売上がどれくらいで、その他に原価や経費がどれくらい発生するのかを試算します。

その結果、役員報酬として年間で〇〇円確保できるから、1か月あたりは12等分して〇〇円になる、という決め方が一般的ではないでしょうか。

当然、役員報酬は毎月これくらいもらいたいので、ということを先に決めて、そうであれば売上をどれくらい計上しなければならないかということを考えるのも方法としてはありますが、現実的には絵に描いた餅になりやすく、厳しい結果が予想されます。

やはり、まずは厳しめの売上予測を立てて、そこから実際に確保できる役員報酬を算定する決め方が無難といえます。

年度途中での金額の変更を避ける

ここまででも説明してきましたが、定期同額給与の制度を利用するときに最も注意すべきは、「毎月同じ金額を支給し記帳する」ということに尽きます。安易に額を上げ下げすることはできません。

冒頭でも述べたとおり、役員報酬が経営者の一存で決定できるため、自由な金額設定を認めると利益操作が可能となるためです。

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まとめ

役員報酬の決め方で大切なのは、以下の3点を抑えておくことです。

1. 毎月同じ金額を1年間支給し記帳すること

2. 金額を変更するときは、翌期に入って3か月以内に株主総会で決定すること

3. 業績悪化で報酬をやむを得ず減額したりする場合は、きちんと議事録を残すこと

ぜひ、参考にしてみてください。

では実際にどのくらいの金額の報酬をもらえばいいのか?については、次回のコラムにてご説明させていただきます。

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