ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱い変更

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こんにちは、東京千代田区の都丸税理士事務所です。

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さて、今回のコラムですが、

国税庁は平成24年8月23日に「ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いについて」と題するお知らせをHPに掲載しました。

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いについて(国税庁HP)

ブログをご覧になっている方の中には、自主再建型の再建が行われたゴルフクラブのゴルフ会員権をお持ちの方がいらっしゃると思います。そのようなゴルフ会員権を譲渡した場合の譲渡所得に係る取得費について、従来の取扱いを変更したものです。

国税庁のお知らせでは内容が分かりづらいのですが、これは同様の事案について争われた税務訴訟の判決を契機として取扱いが変更されたものです。

事案では、会社更生法の適用を受けたゴルフ場のゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費について、旧会員権の取得費用についてどこまで取得費として認められるかについて争われました。

納税者は全額取得費として取扱われると主張し、国税当局は旧プレー権と新プレー権は同一のものとはいえないため、旧会員権の取得費用の一切について取得費として認めないと主張しました。

平成23年12月13日の東京地裁の判決では、旧会員権の取得費用のうち旧プレー権の取得費用については、会社更生法の適用前後で、旧プレー権と新プレー権には同一性が認められるとして、取得費として取扱うことを認めました。

また、控訴審でも平成24年6月27日の東京高裁の判決にて、同様の判断が下されており、本事案は確定しています。

この判決を受け、国税当局は従来の取扱いを変更する方針を決定し、上述のお知らせを掲載しています。

なお、この取扱いの変更は、過去に遡って適用することとされ、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に更正の請求をすることにより、納めすぎとなっている所得税が還付されます。ただし、法定申告期限から5年を経過している年分の減額については認められないため、注意が必要です。

(具体的な計算方法は国税庁HPの質疑応答事例に掲載されています。)

更生手続等により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権をその後譲渡した場合の譲渡所得に係る取得費の計算